液体クロマトグラフィー用充填剤が、印加された電場に応答し、その保持挙動・電気的性質を変化させる現象を、直流電場および交流電場下における挙動を測定し、解明を試みた。 直流電場に対する応答性を、混合固定相充填剤を用いた電気クロマトグラフィーで中性物質を対象として検討を行ったところ、印加電圧に応じて、充填剤表面のシラノール基および第四級アンモニウム基のイオン化の度合いが変化することが明らかになった。また、シラノール基および第四級アンモニウム基の電場に対する応答性はシグモイド曲線(ボルツマン関数)で表すことができることがわかった。さらに、シラノール基の方が電場に対する応答性が高いことが明らかになった。 また、直流電場下に於ける保持挙動変化とカラムの電気的性質変化(電気伝導度の非線形性)の関係を調べるため、蛍光色素を用いて電場下に於けるカラム内試料分布を調べたところ、電場下のカラムでは試料分布の不均一が発生していることを新たに見出した。すなわちカラムの部位によって試料の保持比が異なっていることを見出した。 交流電場をもちいた電気クロマトグラフィーを行い、交流電場印加よって誘起される保持挙動変化の周波数応答性について調べた。混合固定相充填剤を用いて実験を行ったところ、周波数によってイオン性化合物と中性化合物の放出の割合が変化することがわかった。 これらの研究成果に関連した学会発表を7件行い、2件の論文投稿(1件は受理済み)を行った。
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