研究概要 |
電気泳動の際に、界面活性剤などを用いない未変性条件の電気泳動法では、生体タンパク質を生体内に存在しているのと同一の条件(生理的条件)で分離することができるため、タンパク質を分離した後に酵素活性などの生体機能を解析することができると考えられる。現在までに、申請者は等電点電気泳動法とサイズ分離電気泳動法を組み合わせた未変性条件の2次元電気泳動法により、網膜から取り出した水溶性タンパク質を生理的条件を保った状態で、高分離能で分離できること、および、電気泳動分離した後に、スーパオキシドディスムターゼ、エステラーゼ、トランスフェラーゼ、デヒドロゲナーゼなどの酵素活性を調べられることを示した。また、この方法が酵素阻害剤の特異性や非特異性を調べるのに有効であることを示している(BBA1571,p245-248,2002;分析化学51,p367-371,2002)。さらに、未変性条件の2次元電気泳動法で、動物の肝臓や網膜の水溶性酵素を分離した後、その活性を解析すると同時に、その酵素の1次構造を質量分析装置(マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計やエレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析計)を用いて網羅的に解析し、その基礎的データーが蓄積している。また、複数の酵素活性の同時に分析する方法の開発や、蛍光色素などを用いた微量酵素の検出法の検討を現在行っている。今後、これらの内容を国内外に公表いく予定である。
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