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2004 年度 実績報告書

デモグラフィーにもとづいた種間相互作用系ネットワークの群集生態学

研究課題

研究課題/領域番号 14740423
研究機関秋田県立大学

研究代表者

星崎 和彦  秋田県立大学, 生物資源科学部, 助手 (30322655)

キーワードマスティング / アカネズミ / 飼育実験 / 化学防御 / タンニン / サポニン / 堅果 / 体重変化
研究概要

冷温帯ではネズミの個体数は種子の豊凶に影響されて年変動するが、そのパターンは森林の種組成に応じて異なっている。たとえばブナの優占度の高い純林状の林では、ネズミの個体数は種子の豊凶を半年遅れで追うように変化し、ブナの豊作翌年にネズミが大発生するが、同じ森林帯でも混交林の場合は、種子量の変動が小さいにもかかわらず、ネズミの個体数は大きく変動し、やはりブナの豊作の効果が際だっている。そこでアカネズミを用いて飼育実験を行い、餌の成分の違いがネズミの体重に与える影響を検討した。
餌として種子(ブナ、トチノキ、ミズナラ)と各種子を特徴づける成分(脂肪、サポニン、タンニン)を含む人工餌を準備し、10日間の体重推移を調べた。その結果、ブナは体重を安定または若干増加させ、トチノキとミズナラでは体重を減少させる効果が見られた。またミズナラを与え続けた実験区では1個体が死亡した。人工餌を与えた各区のうち、脂肪区とサポニン区ではそれぞれそれぞれブナ区、トチノキ区を再現できた。ただしサポニン区では全個体で体重が激減し、ほとんどの個体が死亡した。タンニン区はミズナラ区を再現できなかった。摂食量・糞量は、ブナ区や脂肪区では給餌後徐々に減少し、逆にミズナラ、トチノキ、タンニン、サポニンの各区では徐々に増加した。人工餌の見かけの消化率は脂肪、デンプンの順に高く、次にサポニン、タンニンが同程度でつづいた。
以上より、ブナ、トチノキ、ミズナラの順にネズミの成長にとって餌の質が高いと思われ、トチノキに含まれるサポニンはネズミにとって毒性を持つことが明らかになった。ネズミは一般に秋季の成長の良い個体が翌春の繁殖に参加するといわれている。したがって、結実する樹種が異なるとネズミの成長の違いを介して翌春の繁殖による個体数の増加に影響が出ることが示唆される。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Seedling dynamics of Acer mono and Fagus crenata : an environmental filter limiting their adult distributions.2005

    • 著者名/発表者名
      Masaki, T., Osumi, K., Takahashi, K., Hoshizaki, K.
    • 雑誌名

      Plant Ecology 176・(印刷中)

  • [雑誌論文] Temporal and spatial variation of forest biomass in relation to stand dynamics in a mature, lowland tropical rain forest, Malaysia.2004

    • 著者名/発表者名
      Hoshizaki, K., Niiyama, K., Kimura, K., Yamashita, T., Bekku, Y., Okuda, T., Quah, E.S., Supardi, N.M.N.
    • 雑誌名

      Ecological Research 19・3

      ページ: 357-363

  • [図書] Seed Fate : Predatin, Dispersal and Seedling Establishment (eds.P.M.Forget et al.)2005

    • 著者名/発表者名
      Hoshizaki, K., Miguchi, H.
    • 総ページ数
      410
    • 出版者
      CAB International, UK.
  • [図書] 日本樹木誌(渡邊定元ほか編)2005

    • 著者名/発表者名
      星崎和彦
    • 出版者
      日本林業調査会(印刷中)

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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