今年度は、既に取得しているapm(aberrant peroxisome morphology)変異体のうち、apm1変異体について解析を進めた。 apm1変異体では、ペルオキシソームが長くなり、細胞内の数が減少していることから、ペルオキシソームの分裂が抑制されていることが明らかとなった。また、他のオルガネラの形態を調べた結果、ミトコンドリアの分裂も抑制されており、巨大化あるいは、長いミトコンドリアが観察された。他のオルガネラには影響は見られなかった。また、ショ糖を含まない培地で発芽させると根の伸長が抑制されること、通常の空気中では矮性を示し、それが高濃度のCO_2条件下では野生型に復帰することから、この変異体では、β-酸化系と光呼吸系に影響が出ていることが彰かとなり、オルガネラの形態変化が機能に影響を及ぼしていることが示唆された。 CAPSとSSLP法により原因遺伝子を同定した結果、APM1遺伝子は、ダイナミンファミリーの1つ、ADL2a(Arabidopsis dynamin-like protein 2a)をコードしていることが明らかとなった。ADL2aタンパク質は、これまでミトコンドリアの分裂に関与していることが報告されている。今回の結果は、同じダイナミン分子がペルオキシソームとミトコンドリアという2つのオルガネラの分裂に関与していることが明らかとなった。現在、抗体を作製中であり、次年度は、ADL2aタンパク質の生化学的な解析を進めるとともに、他のapm変異体についてもマッピングを進めていく予定である。
|