今年度は、昨年度までに取得したapm(aberrant peroxisome mrophology)変異体のうち、APM1遺伝子がコードしているダイナミンタンパク質(DRP3A : Dynamin-related protein 3A)の解析と他のapm変異体の原因遺伝子の同定を行った。 apm1変異体では、ペルオキシソームとミトコンドリアという2つのオルガネラが形態異常を示し、葉緑体の形態は影響を受けない。しかしながら、その原因遺伝子がコードするAPM1/DRP3Aタンパク質は韓国のグループによって、葉緑体に局在しチラコイド膜の形成に関与するとされていた。そこで、Particle bombardment法により細胞内局在性の検討を行った結果、APM1/DRP3Aタンパク質はペルオキシソームとミトコンドリアとは共局在を示すものの、葉緑体には局在しなかった。また、電子顕微鏡観察により葉緑体の内部構造を調べたところ、チラコイド膜を含め、その構造はapm1変異体と野生型では差がなかった。これらの結果は、APM1/DRP3Aタンパク質は、ペルオキシソームとミトコンドリアの分裂には関与するが、葉緑体の分裂には関与しないことを示している。新たに得られたapm1変異体のアリルにおける変異部位と表現型を検討したところ、GFPの結合部位にアミノ酸置換を生じさせるような変異をもつアリルは著しい表現型を示すことから、DRP3AにおけるGTP結合部位がダイナミンの機能に重要であることが明かとなった。 他のapm変異体の原因遺伝子を同定するために、CAPSとSSLP法を行った結果、APM2遺伝子は、ペルオキシソーム形成に関わる因子の一つPEX13(PEROXIN13)タンパク質をコードしていることが明らかとなった。また、このapm2変異体では、PTS1輸送だけでなくPTS2輸送の効率も低下していることが明らかとなり、PEX13タンパク質は両輸送経路に共通な因子として機能することが示された。
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