本年度は次の2点について行い、1の内容については論文発表済みである。 1、F-boxタンパク質のクラス分けと発現解析 過剰発現体を用いた機能解析を効率的に行うために、F-boxタンパク質群のクラス分けを行った。申請の時点で472個のF-boxタンパク質を同定しているが、再度解析を行い568個のF-boxタンパク質を同定し、系統樹により100程度のサブグループに分類した。また、F-boxタンパク質はターゲットタンパク質と結合するドメインを有していることに着目し、ドメインによる分類を行い、19のサブグループに分類した。このドメイン解析により新規なドメインと予想される配列を3つ同定した。次に、コンピュータ予測されたF-boxタンパク質がユビキチンシステムで機能しているか確かめるため、シロイヌナズナのSKP1ホモログであるASK1との結合を酵母ツーハイブリッド法により解析した。その結果、結合しないタンパク質が同定され、これらはユビキチンシステム以外で働く可能性が示唆された。また、クローニング済みのcDNAを使用したマクロアレイにより組織特異的発現を解析したところ、テストした遺伝子の内4つが組織特異的な発現を示すことが明らかになり、これらの遺伝子は組織特異的な機能を有することが推測された。これらのデータは今後の機能解析の基礎となるデータである。 2、形質転換体の作成およびスクリーニング 35Sプロモータ下流にクローニングした82個のcDNAをバルクで植物に導入し、センスまたはアンチセンスの過剰発現体を作成し、T1世代で形態変異を起こす植物のスクリーニングを行った。これまでに約500個体スクリーニングし、いくつかの形態異常を示す植物を得ている。これらの植物からDNAを抽出しPCRにより導入された遺伝子を同定した。現在、これらの遺伝子を再度植物に導入し、表現型が再現されるか確認している。
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