1)これまで魚類では、カルシトキンのmRNAとタンパク質を指標とながら、鯉後腺の発生過程を詳細に解析した報告がなかったが、本研究はニジマスを用いてその基盤を整えた。鯉後腺原基は孵化後17日目に現れ、カルシトニンmRNAは受精後18日目、そしてカルシトニンペプチドは受精後19日目に検出された。受精後20日目には濾胞様構造も観察された。また、受精後24日目の稚魚では鯉弁にもカルシトニンmRNAが検出された。本結果はZoological Scienceに掲載予定である。 2)ニジマスのカルシトニンにはI型、IV型、および我々が発見したV型があるが、成魚におけるこれらの遺伝子の発現パターンを体系的に示した。V型は鯉後腺以外では組織学的には検出できないほど少量であるが、多くの組織で遺伝子発現していることがRT-PCRにより示された。また、IV型は鯉後腺以外では精巣のライヴィヒ細胞に遺伝子発現が見られた。本研究はH14年から継続していたが、最終的に纏まり、Journal of Molecular Endocrinologyに掲載予定である。 3)ニジマス鯉後腺や哺乳類の甲状腺等を用いて、カルシトニン産生細胞で発現している転写因子について解析した。いくつかの因子に関して興味深い結果が得られており、現在、ニジマスの発生に伴う発現動態やsiRNAによるknockdownの影響を調べている。例えば、ニジマスではNkx2.1が、4種類有り、その内Nkx2.1aと-bは甲状腺で機能し、Nkx2.1dは鯉後腺で機能している可能側が高いことなどが判明し、機能解析を行っている
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