研究概要 |
【休眠蛹のオレンジ色蛹の発現調節に関わる基礎的な内分泌学的実験】 短日飼育幼虫の脳-神経節連合体のどの部位で、オレンジ色蛹誘導物質が合成あるいは蓄積されているのかを調べるため、脳-神経節連合体を部位ごとに摘出し、生物検定を行なった。その結果、オレンジ色蛹誘導物質は、第2胸部神経節以降の神経節に存在することが判明した。さらに、粗抽出液による濃度反応応答を求めた結果、濃度依存的に結紮腹部をオレンジ色に変化させることがわかった。 【ナミアゲハオレンジ色蛹誘導物質の精製手順の検討】 オレンジ色蛹誘導物質精製の出発材料であるナミアゲハ短日飼育幼虫を大量に飼育し、神経節連合体を2,000個以上集め、神経節連合体を緩衝液中で破砕し、粗抽出液を調製した。休眠予定個体の前蛹期に腹部を結紮し、この結紮腹部を用いた生物検定により、オレンジ色蛹誘導物質の活性を測定した。その結果、粗抽出液、ゲルろ過、および逆相クロマトグラフィー(C8)の4段階めまでの精製手順を確立した。 【ナミアゲハ夏型ホルモンの精製およびN-末端配列の決定】 本助成期間中の気候が、例年と比較して非常に暑く、ナミアゲハの幼虫の大量飼育が不調に終わり、ナミアゲハの夏型ホルモンの精製を断念し、カイコガ成虫の脳を出発材料として夏型ホルモン活性物質の精製と一次構造の決定を試みた。その結果、3段階の粗抽出分画、4段階のカラム分画過程を経て、部分精製標品を得ることができ、N-末端のアミノ酸配列の解析を行なったところ、20個のアミノ酸配列が決定できた。
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