研究課題
本研究では、研究代表者が出血性ヘピ毒から見いだした新規血管内皮細胞特異的アポトーシス誘導タンパク質(VAP)をもとに、生体内で血管内皮細胞のアポトーシスを制御している因子や受容体を見いだし、その構造や作用機序を明らかにすることを目的とする。本年度は、生体内の血管内皮細胞特異的アポトーシス誘導因子の検索及びVAP cDNAのタンパク質発現系の確立を試みた。3種類のVAPはすべてメタロプロテアーゼ・ディスインテグリンファミリーに属する新規のタンパク質であるが、このファミリーの既知タンパク質には存在せず、VAPのみに共通するアミノ酸配列が見いだされている。そこで、このVAPのみに共通するアミノ酸配列をもとに、各種高等動物cDNAライブラリーから血管内皮細胞特異的アポトーシス誘導因子の候補タンパク質のcDNAを検索した。得られたcDNAの塩基配列を決定し検討した結果、血管内皮細胞特異的アポトーシス誘導因子の候補となるcDNAは得られなかった。他のメタロプロテアーゼ・ディスインテグリンファミリーやアポトーシス誘導タンパク質との比較も含めて再検索を行い、候補タンパク質を決定することを次年度以降の課題とする。血管内皮細胞特異的アポトーシス誘導因子を特定するためには、候補タンパク質の発現系を確立し、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞を用いてアポトーシス誘導活性を評価することが必要となる。そこで本年度は、血管内皮細胞特異的アポトーシス誘導因子発現系の確立を視野に入れ、VAPのタンパク質発現系の確立を試みた。まず、大腸菌タンパク質発現系を用いて完全長及びドメインを欠失させたVAPの発現を試みたが、効率的に発現誘導する条件を決定することは出来なかった。今後は昆虫細胞発現系及びほ乳類発現系を用いてVAPのタンパク質発現条件の検討を行い、血管内皮細胞特異的アポトーシス誘導因子発現系の確立に繋げたい。
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