アジア熱帯におけるダニ類の多様性解明の礎

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14740468
• 研究機関: 北海道教育大学
• 研究代表者: 高久 元 北海道教育大学, 教育学部・札幌校, 助教授 (40236203)
• キーワード: ダニ類 / アジア熱帯 / 分類 / 生物地理 / 系統 / 多様性 / ハエダニ科 / ファウナ

研究概要

今年度は、昨年度に引き続き、インドネシア科学院生物学研究所研究員のスリィ・ハルティニ氏とともに、インドネシアの様々な島嶼で採集された申虫便乗性ハエダニ類の同定を進めた。現在までに、ジャワ、スマトラ、カリマンタン(ボルネオ)、小スンダ列島(バリ、ロンボック、スンバ、スンバワ、チモール、フローレス)、スラウェシ、イリアンジャヤで採集されたハエダニ類標本の同定をほぼ終え、未記載種に関しては、逐次、島嶼ごとあるいは分類群(属または科)ごとにまとめて記載論文を作成しているところである。昨年度および今年度の研究から、約60種のハエダニ科ダニ類がインドネシアに生息することが判明した。これまでにわかっている周辺諸国のデータもあわせて各地域のファウナをもとにクラスター解析を行ったところ、ジャワ、スマトラ、カリマンタンのスンダ陸塊、バリからフローレスにかけての小スンダ列島にスラウェシをくわえた地域がそれぞれクラスターを形成し、その外側にフィリピン、イリアンジャヤ、オーストラリアがつながるというデンドログラムが得られた。アジア大陸部のデータがかなり不足しているため、充分な解析・考察はできないが、恐らく、スンダ陸塊はアジア大陸部の影響が強く、小スンダ列島のファウナは、それとはやや違った独自のファウナをもち、イリアンジャヤのファウナはオーストラリア要素が強いものと思われる。
なお、今年度は、西ジャワのNeopodocinum属の2新種、ジャワのハエダニ属の3新種、カリマンタンのハエダニ属1新種、Holostaspella属1新種の記載を行い、それらの論文は既に刊行されている。また、カリマンタンで得られたNeopodocinum属の1新種に関しても記載し、これは現在印刷中である。

研究成果

• [文献書誌] Sri Hartini, Gen Takaku: "Mites of the macrochelid genus Neopodocinum (Arachnida : Acari : Gamasida : Macrochelidae) associated with dung beetles in West Java, Indonesia"Species Diversity. 8(1). 47-65 (2003)
• [文献書誌] Sri Hartini, Gen Takaku: "Javanese species of the mite genus Macrocheles (Arachnida : Acari : Gamasina : Macrochelidae)"Zoological Science. 20(10). 1261-1272 (2003)
• [文献書誌] Sri Hartini, Gen Takaku: "A new species of Holostaspella (Arachnida : Acari : Macrochelidae) from Kalimantan, Indonesia"Species Diversity. 8(4). 347-351 (2003)
• [文献書誌] Sri Hartini, Gen Takaku, Haruo Katakura: "Macrochelid mites of the genus Macrocheles (Acari : Macrochelidae) in Kalimantan, Indonesia"International Journal of Acarology. 29(4). 307-313 (2003)
• [文献書誌] Sri Hartini, Gen Takaku: "Neopodocinum mites (Arachnida : Acari : Macrochelidae) in Kalimantan"Species Diversity. 9(1)(In press). (2004)