特殊な形態をもつ針葉樹属、Neocallitropsis及びその姉妹群となるCallitrisならびにActinostrobusについて、昨年新たにオーストラリアで採集されたさく葉標本を用いて形態の解析を進めるた。その結果Callitrisにおいて葉の形態に基づき大きく二つの特徴的なグループがあることが再認識された。下の系統解析の結果を参照すると、この形態的特長はある程度系統を反映したものであった。 形態観察用の試料と同時に採集された葉のシリカゲル乾燥サンプルを用いて、Pinusとその姉妹群、ならびにNeocallitropsisとその姉妹群について、できるだけ多くの分類群を用いて分子系統解析を進めた。Pinus属の系統解析ではすでに報告されている葉緑体DNAに加え、ミトコンドリアのnad1、とnad5のイントロン領域の塩基配列を決定し、葉緑体遺伝子の系統樹との比較を行った。両者には大きな違いがあり、さらに核のシングルコピー遺伝子を用いた系統の解析を進めている。Neocallitropsisについては近縁属のActinostrobus2種とCallitris13種17個体についてtrnKのイントロン領域の塩基配列を決定し、系統解析を行った。その結果側系統群であるCallitrisの内部で、NeocallitropsisとActinostrobusが形態的に特殊化し、分化してきたことが推測された。Neocallitropsisの葉緑体遺伝子はニューカレドニアのCallitrisに非常に良く似ており、短時間に形態の特殊化が起きたと推測される。
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