上記テーマに基づく研究によって、以下の研究成果を得た。 1、新規素子構造として光結合プリズムを導入した構造を提案した 2、多用されている従来型構造に比べて飛躍的な光結合強度増大に成功した 3.実験的・理論的検証から光結合プリズムの最適パラメータを明らかにした 有機フォトリフラクティブ材料は、従来知られた無機結晶材料を凌ぐ性能から注目されている。これまでは主に材料開発の研究が中心であり、素子構造開発の研究はわずかであった。実用的な光情報処理装置などへの応用を考えた場合には、活性媒質から効率的に機能を引き出すための素子構造開発は重要なテーマであると考えられる。本研究では、有機アモルファス材料の性能を高効率に引き出すための最適素子構造の提案に成功した。任意の材料に対して、所望の印加電界領域において最大の光結合強度を与える条件が、光結合プリズムの頂角を変えることで可能となることを実験的・理論的に明らかにした。光結合プリズムを組み込んだ新規構造(反射型ビーム配置)の採用によって、これまでに報告されているような高性能な媒質から、実用的な印加電界領域(〜50V/μm)において、従来構造に比して1桁以上大きな2光波結合強度を得ることができることを示した。多用されている従来構造(透過型チルトビーム配置)では、実用的な電界領域では材料性能を十分に引き出すことは難しい。本成果は、有機フォトリフラクテブ材料の光情報処理素子応用に向けた研究に深く貢献するものと考えられる。
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