光起電力効果の現象解明のために、光起電力特性の精密測定を行った。ここでは、エレクトロメータによる微小電流測定を行ったが、これまで以上の測定精度を得るために強度の強いランプ光源を用い、また併せて光源と素子の間に均一照射レンズを導入した。これにより、従来より一桁大きな強度範囲において測定が可能になり、また素子に光が均一に照射されるようになり、精密計測が可能となった。以上の光学系を用いて、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)セラミックスを対象として計測を行った。その結果、光起電圧及び光起電流に関してこれまでよりも幅広い照射光強度範囲において特性計測を行うことが出来た。これから暗導電率、光起電力定数等を算出した。とくに、照射光強度の20mW/cm2以下の領域においては、これまで互いに反する結果が報告されてたが、いずれも測定精度不足であったことを明らかにし、現象解明に新しい知見を与えた。また、光モータへの応用に関しては電源部となるPLZT素子の出力特性について検討し、薄膜構造体化するためにアイデァを特許化した。薄膜化することにより、出力電流は3桁程増加し、一方電圧は3桁減少する。構造体の上部電極としては透明性のある材料を用いることで、構造の簡素化及び積層化を実現した。予備的な実験により、性能試験を行い、光起電力特性の基本性能は確認された。今後は薄膜構造体の性能及び構造についてさらに検討を進め、最適な形状や組成を明らかにする。
|