研究概要 |
本研究課題は,離散最適化の最新の成果を応用して,多変量データの新たな統計的解析手法を確立することを目的としている. 多変量データの統計的解析に当たっては各変量を比較的小数のグループに分類することが,有用な知見を得るために重要なステップとなる.しかし,因子分析に代表される従来からの手法は,変量の線形結合を用いており,問題点が少なくない. 本研究課題では,変量の線形結合を経由せずに,相関行列の半正定値対称性とその離散構造を積極的に利用した手法を開発している.特に半正定値対称行列の主小行列式の対数が,劣モジュラ関数を与えることに注目し,対称化劣モジュラ関数の最小化アルゴリズムを用いた分解原理を適用した.この分解原理に基づく変量の2分割が,最大対数尤度を与える分割となることを明らかにした. さらに,半正定値対称行列に由来する対称劣モジュラ関数に特化した高速アルゴリズムを開発し,これを計算機上に実現した.各種の人工的な統計データを入力として与え,分割の振舞に関する知見を得た.
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