研究期間の最終年度となる本年度の研究業績は次の通りである。 1.主双対内点法を効率よく並列計算する手法を提案し、MPIを利用することにより実装を行った。そして、東京工業大学松岡研究室のpcクラスタPresto IIIや東京電機大学藤澤研究室のpcクラスタSDPAで実証実験を行った。その結果、開発したソフトウェアは、既存のソフトウェアに比べ非常に高いスケーラビリティを有し、大規模な半正定値計画問題と解くことが可能であることが確認できた。これらの成果は、Journal of Optimization Methoeds and Software誌に掲載予定の論文と東京工業大学 数理・計算科学専攻のテクニカルレポートで報告している。さらに、現在2本の論文を投稿中である。 2.本研究課題の成果物を多くの人に利用してもらうため、ソフトウェアのソースコードをインターネット上で一般に公開した。ホームページのアドレスはhttp://grid.r.dendai.ac.jp/sdpa/である。これにより、ANSI C準拠のコンパイラがあれば、誰でもすぐに超大規模な半正定値計画問題を解くことが可能となった。また、ソフトウェアのドキュメントは、東京工業大学 数理・計算科学専攻のテクニカルレポートとしてまとめた。 3.現実社会の問題として、ロバスト・トラッキングエラー最小化問題に適用し、上記の手法の有効性を検証した。この成果は日本オペレーションズ・リサーチ学会誌に掲載されることが決まっている。 3年間の研究期間が終了したが、この期間の一連の研究により、当初の目標である、実用的な計算資源で超大規模な半正定値計画問題を解く主双対内点法を実現し、そのソフトウェアをインターネットで一般に公開する、という研究課題は十分に達成することが出来た。
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