研究概要 |
1,ガスタービン翼用耐熱CoNiCrAlY皮膜(減圧プラズマ溶射,模厚300μm)の機械的特性を明らかにするため,単軸応力-ひずみ応答を測定した.作製される皮膜の組織に大きな影響を与える溶射粉末粒径と熱処理条件をパラメータとして単調負荷試験,繰返し負荷試験を行った.(1)溶射粉末粒径が小さい程,空孔率が小さく緻密な皮膜が得られた.また拡散熱処理によって空孔率が大きくなることが分かった.(2)各種条件で作製した皮膜のヤング率を明らかにした.溶射粉末粒径が小さく空孔率が小さい皮膜の方が,ヤング率が大きくなることが明らかとなった.また拡散熱処理を施した皮膜の方が未熱処理の皮膜よりヤング率が大きくなる傾向であった.(3)減圧プラズマ溶射皮膜の場合,繰返し負荷によってもヤング率(またはコンプライアンス)がほとんど変化しないことが分かった.(4)圧縮負荷を与えた後除荷した際,永久ひずみが発生することが分かった.粉末粒径が大きい皮膜程,発生する永久ひずみが大きくなることが明らかとなった. 2,アルミナ皮膜(ボンド層はNiCr)をプラズマ溶射コーティングしたステンレスSUS304鋼の熱サイクルはく離強度を評価し,はく離機構を検討した.ボンド層の粉末粒径によってアルミナ層とボンド層の界面粗さを制御し,界面粗さがアルミナ層の熱サイクルはく離強度へ及ぼす影響を調べた.熱サイクル試験中に発生する表面ひずみをレーザスペックル法により測定し,皮膜損傷の非破検出を試みた.(1)き裂が進展する際の表面ひずみ挙動を有限要素解析により計算した.また断面観察により皮膜の損傷状態と表面ひずみの対応関係を確認した.これらの事から,表面ひずみをモニターすることにより非破壊で表面き裂深さを推定可能であることを明らかにした. (2)界面粗さを大きくすることによって,はく離寿命を長寿命化できることが分かった.
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