研究概要 |
本研究では,管フランジ継手からの内部流体の漏洩量を精度良く予測する手順を提案することを目的としている. 本年度は,管フランジ継手の三次元有限要素解析手法を確立した.管フランジ継手は非常に複雑な三次元構造物であり,さらに非常に剛性が低く,圧縮特性において強い非線形挙動を示すガスケットを使用するため,その特性評価は困難である.本解析手法では,管フランジ継手を効率的にモデル化し,ガスケットの非線形挙動を一次元ガスケット要素として導入した.そして,管フランジ継手の内圧および曲げモーメント負荷試験を行い,ボルト軸力変化を測定することにより解析手法の妥当性を確認した. また,管フランジ継手の漏洩特性に重要な影響を与える組立て過程に着目した.管フランジ継手の組立て過程におけるボルト締付け手順について有限要素解析による体系的な評価を行った.管フランジ継手は,多数のボルトにより締結されており,通常ボルトは1本ずつ締付けられる.この時,ボルトの軸力は互いに相互作用を生じ,締付け作業完了時に均一な軸力状態を達成することは非常に困難である.評価の結果,ボルトを時計回りにかつ作業の初期段階から高い締付け力で締付け作業を行うと,少ない労力で高い達成度が得られることを確認した.また,均一な軸力状態を達成するための締付け作業回数は管フランジのサイズによって異なるが,この回数を有限要素解析により明確にし,実際の作業現場における明確な作業指針を確立した.通常,ボルトはトルクを指標にして締付けられることが多いが,ねじ面とナット座面の状態によりボルトの締付け軸力はばらつくことが知られている.この個々のボルトの締付け軸力にばらつきがある場合を考慮し,管フランジ継手の締付け特性を評価し,個々のボルトの締付け軸力のばらつきと,多数のボルトにより管フランジ継手を締付ける場合の弾性相互作用によるばらつきの相互関係を明らかにした.
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