研究概要 |
繊維強化プラスチック(FRP)を構成する要素は,母材である樹脂・強化材である繊維,そしてそれらの界面が挙げられる.これまでFRPの高性能化に関しては,母材樹脂または強化繊維,もしくはその両方を高性能化することにより達成されてきた.ここで,第3の構成要素である界面に関しては,強化繊維の表面処理により界面強度の向上がなされてきた程度であり,材料設計のパラメータとしては十分に利用されてきたといえない.これは界面が二次元的な面として扱われてきたために,材料設計の自由度が低いためである.そこで,2次元的な界面の代わりに3次元的な広がりを有する界面相を付与し,その界面相に様々な機能性を与えることにより,FRPの更なる高機能化が達成可能であると考える.本研究の目的は,1.機能性界面相を有する繊維強化複合材料の作成法の確立,2.機能性界面相の特性が複合材料の巨視的な特性に及ぼす影響の解明,である.これらが達成されることにより,目的に応じた特性を有する複合材料の開発が可能となり,工業的意義は大きいと考えられる. 本年度は,昨年度の成果より作成することが可能となった柔軟性界面相を有するCFRP積層板に対して引張試験・曲げ試験・疲労試験を行うことにより,積層板中に最初に発生する損傷であるトランスバースクラックが大幅に抑制することが可能であることを確認した.また,繊維方向ではそれほど効果は無いが繊維直角方向の減衰特性が大幅に向上することを確認した.
|