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2003 年度 実績報告書

高分子材料の劣化経路の評価

研究課題

研究課題/領域番号 14750075
研究機関東京都立工業高等専門学校

研究代表者

根本 哲也  東京都立工業高等専門学校, 機械工学科, 助手 (90342477)

キーワード高分子材料 / 劣化 / 疲労 / 材料寿命 / 反応速度論 / 重合 / 分解 / 材料評価
研究概要

高分子材料の疲労は,マクロ的には材料の集合体として振舞うのに対し,ミクロ的には高分子鎖の集合体として,高分子鎖の切断,架橋,絡み合いの解れなどによる現象が現れる.このことは,金属材料に適用しうる材料評価手法を高分子材料に適用することへの問題点としてあげることができる.しかし現在,高分子材料の材料評価には,金属材料の評価手法を適用しており,工学的合理性の面からみても,信頼性のある評価がなされている.ところで,高分子材料は重合によって製造されることが一般的である.重合についての研究は古くからなされており,その状態は反応速度論で整理することができる.本課題で扱う劣化は,重合の逆反応(解重合)であるといえる.
そこで,本課題では種々の劣化の状態を再現し,それぞれの劣化の状態を反応速度係数で整理し,機械的性質評価の統一的なパラメータとしての可能性について検討を行った.その結果,以下のことが明らかとなった.
高分子材料の劣化が高分子鎖の分解(低分子量化)のみの場合,疑一次反応として整理することができることがわかった.また,この劣化では劣化の化学的な状態と機械的性質の変化がよく一致し,劣化による材料寿命予測などに応用できる可能性があるものと考えられる.
また,劣化が分解と架橋(低分子量化と高分子量化)が行われる場合については,次の二つの方法で整理できることがわかった.一つ目は分解と架橋が同時に進行する場合,疑一次もしくは二次反応として整理できる.二つ目は分解が先行し,ついで架橋反応が伴う場合,疑一次反応と疑一次もしくは二次反応の時系列変化的な関係となることである.これらの場合,機械的性質との関連性はみられず,複雑な様相を呈することが明らかとなった.
今後は,劣化が分解と架橋を伴う場合の劣化メカニズムの解明と,複合的な劣化因子がある場合での機械的性質評価の確立が課題としてあげられる.

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] 根本哲也, 佐々木翔, 島本聡, 中野正博, 松浦弘幸: "材料のスケーリング則とその適用範囲"数理科学. 4・2. 1-7 (2003)

  • [文献書誌] 根本哲也, 松浦弘幸, 中野正博: "確率共鳴による筋収縮マクロモデルの運動解析"JCOSSAR論文集,日本材料学会. 755-760 (2003)

  • [文献書誌] 松浦弘幸, 中野正博, 根本哲也: "確率力学と拡散方程式の展開"数理科学. 4・2. 8-14 (2003)

  • [文献書誌] Matsuura H, Nakano M, Nemoto T: "The Principle for Artificial Molecular Machine and Noise : Slow Stochastic Dynamics in Complex Systems"American Institute of Physics. (Paper Accepted, now Printing). (2004)

  • [文献書誌] Matsuura H, Nakano M, Nemoto T: "Stochastic Dynamics of Actin-Myosin System Employing Fluctuation and Stochastic Resonance"INFORMATION. (Paper Accepted, now Printing). (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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