研究概要 |
現在,樹脂製マイクロパーツの成形では,(1)超精密かつ複雑な金型(表面粗さが数nmレベル,形状精度がサブミクロンレベルの実現),(2)超精密金型内での樹脂流動性(フローマーク,ウェルドライン,ひけ,そりの低減),などが問題点としてクローズアップされている.そこで,IT関連機器を中心としたマイクロパーツ成形のための超精密金型の開発に向けて,問題点の原因究明と超精密金型の開発を最終目的として実施している.特に,今年度の研究としては,基礎データおよび基礎加工に重点を置き,樹脂流動に及ぼす金型の表面性状の改善に関する基礎的研究を実施した. 1.評価用超精密金型の作製:超精密鏡面(ELID ; Electrolytic In Process Dressing)研削法および超精密多軸加工機を用いて,超精密金型を作製した.特に,金型の表面性状に焦点を当てた評価用超精密金型の作製を行った. 2.形状精度向上のための機上計測装置の開発:超精密金型作製の過程における形状精度の向上のために,機上計測システムの開発を行った.特に,原子間力顕微鏡(AFM)やレーザープローブユニットを加工機上に搭載し,ワークの取り外しなしで,金型の形状精度の評価を可能にするシステム開発を行った.ほぼシステムは開発できているが,振動除去の問題がまだ一部解決できていないため,来年度に改良する予定である. 3.表面性状と樹脂流動の関係解明と成形品の評価:評価用金型の形状精度を評価するとともに,樹脂の流動性に対する特性評価を実施した.ほぼ一定の評価は実施されたが,樹脂流動については来年度も実施する必用がある.
|