研究概要 |
YAG高調波レーザを発振させる方法および透明体電極作製法について検討し,以下のような所見が得られた. 1.非線形結晶であるKDPにQスイッチ発振した波長1064nmのレーザ光を通過させることにより波長532nmのYAG第2高調波得た.さらに波長532nmと1064nmのレーザ光を再度非線形光学結晶に通過させることにより波長355nmのYAG第3高調波を,また波長266nmのYAG第4高調波を得た.第2,第3高調波では結晶の角度調整を行うことによりレーザ光の変換効率が最適となるようにした.第4高調波については結晶の温度を制御することにより歪みを与えて結晶に入射するレーザ光軸を変化させて,変換効率のチューニングを行う構造とした.なお,非線形光学結晶通過後のレーザ光は波長が混在した状態となっていることから,ダイクロイックミラーを2枚用いることにより高調波を抽出した. 2.大気中でそのままレーザ光を集光した場合,集光点において発光現象をともなうエアーブレイクダウンが発生したが,ヘリウムガス雰囲気中でプロセスを行うことによりある程度抑制できた. 3.キャリブレーション試料として硫酸バリウムを用い,積分球を備えた自記分光光度計によりITO膜の反射率および透過率を測定することによりその吸収特性を求めた.波長が400nmより短くなると吸収率が急激に増加して波長330nm以下ではほぼ100%となった.また,波長580nm付近を中心に可視光領域でも吸収率の増加が確認された.ことから波長532nmのYAG第2高調波の吸収も期待できることが明かとなった.
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