研究概要 |
生産システムの効率的な運用のためには,適切な生産スケジュールが必要である.生産スケジューリングに関する既存の研究の多くは,生産活動の開始前に適切な生産スケジュールを迅速に求めることを目的としている.しかし,このようなスケジューリング手法では,加工設備の作業の遅延など,生産活動の開始後に発生した生産環境の変化に対応することは困難である. 本研究では,生産開始後に発生した加工設備の作業の遅延に対して,生産開始前に作成した生産スケジュールを,遺伝的アルゴリズムを用いて,適切な生産スケジュールに変更するリアクティブスケジューリング手法を提案した.この手法は,生産活動の開始後に発生した作業の遅延に対し,既に開始した作業を考慮しながら,遺伝的アルゴリズムに基づくリアクティブスケジューリングプロセスを短い間隔で繰返し行うことにより,生産活動を停止せずに,新たな生産スケジュールを生成することができる.その際,リアクティブスケジューリングプロセス間で個体を継承することにより,適切な生産スケジュールを生成することができる.さらに,本研究では,リアクティブスケジューリングシステムのプロトタイプを開発し,計算機実験を行うことで本手法の有効性を検証した.その結果を以下にまとめる. (1)生産活動の開始後に作業の遅延が発生するジョブショップスケジューリング問題に対して,リアクティブスケジューリングの計算機実験を行った.これにより,生産活動を停止せずに生産スケジュールを適切に変更することができることを示した.さらに,遅延が繰返し発生する場合においても,本手法が有効であることを示した. (2)ルールを用いたリアルタイムスケジューリングと計算機実験の結果を比較することで,本手法は,総加工時間最短の観点から,より適切な生産スケジュールを求めることができることを示した.
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