研究概要 |
平成14年度は,生産開始後に発生した加工設備の作業の遅延に対して,生産開始前に作成した生産スケジュールを,遺伝的アルゴリズムを用いて,適切な生産スケジュールに変更するリアクティブスケジューリング手法を提案し,リアクティブスケジューリングシステムのプロトタイプを開発した.しかし,実際の製造企業では,1つの生産スケジュールだけで生産管理を行うのではなく,工場層やライン層など,階層の異なる複数の生産スケジュールにより生産管理が行われる. そこで,平成15年度は,工場層やライン層など,階層の異なる複数のリアクティブスケジューリングシステム間で,生産スケジュールの整合性を管理しながら,同時かつ並列に生産スケジュールを改善するコンカレントプロセスを提案した.次に,オブジェクト指向言語SmalltalkとCORBAを用いて,階層の異なるリアクティブスケジューリングシステムをネットワーク上の2つのコンピュータに実装し,階層分散型リアクティブスケジューリングシステムのプロトタイプを開発した.これを用いて,下階層で発生した加工作業の遅延に対して,2つのリアクティブスケジューリングシステムで,同時かつ並列に生産スケジュールを改善する計算機実験を行った.その結果,従来のように,下階層で改善した生産スケジュールの結果を伝達してから上階層の生産スケジュールを改善するよりも,階層の異なる2つのリアクティブスケジューリングシステムで改善した生産スケジュールを協調的に重ね合わせることで,迅速に適切な生産スケジュールに変更することができることを示した.
|