研究概要 |
LSIの基板となるシリコンウエハの製造における最終工程がポリッシングである。ポリッシングはシリコンウエハの鏡面仕上げを目的としており、一般に研磨時間で管理されている。現状では、そのポリッシング工程をインプロセスでモニタリングする技術がないため、研磨終点の検出ができずに必要以上の時間を無駄に研磨している可能性がある。そこで、本研究では、前述の問題点を解決するべく、シリコンウエハのポリッシングにおいて、インプロセスで研磨面性状を計測・監視する方法としてATR法(Attenuated Total Reflection:全反射減衰)と呼ばれる全く新しい方法を提案し、その有効性を実験的に確認することを目的としている。 ATR法とは、シリコンウエハの面取り面へ赤外線レーザビームを入射し(ビーム光は全反射の条件を満たすような入射角度に設定されている)、ウエハ内部を全反射透過して反対側のウエハ面取り部から出射してくる光パワーメータで測定する方法である。ポリッシング加工によりシリコンウエハの表面あらさが小さくなるにつれ、ウエハ表面での光の散乱が少なくなり、規則正しく全反射が繰り返されるため、赤外線透過光強度が大きくなることが予想される。 平成14年度は、実験装置を製作し、シリコンウエハをポリッシングしながら、ウエハの表面粗さとATR法による赤外線レーザ透過光強度の関係を調べた。実験の結果,赤外線透過光強度と表面粗さの間には,明確な相関関係があることがわかった。よって、シリコンウエハのポリッシング加工中に、その透過光強度を計測することにより、加工表面状態(表面あらさ)をインプロセス監視できる可能性を得た。
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