研究概要 |
本研究課題では,流体駆動形マイクロマシンなどのマイクロ液圧制御システムを実現する際に必要となる,小形で高信頼性を持ち,かつ信号増幅用アンプが要らない高感度のマイクロ圧力センサの実現を目的としている.そのために本年度は,受圧により変形するダイアフラムと同心円状に形成した固定金属膜の接触の違いによる電気抵抗の変化を用いた平面構造形の圧力センサを提案し,金属皮膜抵抗などを用いた実験によりその妥当性を確認した.さらに,得られた知見を基に,半導体プロセス技術を用いた圧力スイッチアレイのラージモデル(10mm×10mm×1.2mmサイズ)を試作している.実施結果の具体的内容は以下のとおりである. 提案した圧力スイッチアレイの金属抵抗は,制作の容易さのために本年度は直列に繋げている.はじめに,厚さ1mmのパイレックスガラス上に,それぞれ幅0.1mm厚さ5μmの18層の金箔をスパッタにより形成し,抵抗材となるニッケルを蒸着により接続する.つぎに,厚さ0.2mmシリコンに上下両面から異方性エッチングにより厚さ8μmのアルミニウム材のダイアフラムを形成し,パイレックスガラスとの陽極接合をおこなう.シリコンの上面から0.1mm離れた8mm×8mmサイズのダイアフラムは,まだ実験的検討は十分ではないが簡単な計算によると,100kPaの受圧で0.3mm無負荷時)変位するため,ダイアフラムの変形により接触抵抗の違いが十分に生じる.来年度の課題としては,試作圧力センサの特性評価による最適な構造設計の確立と直径10mmサイズの流体駆動マイクロマシンへの応用を図ったマイクロ圧力センサ(4mm×4mm×0.5mmサイズ)の試作が挙げられる.
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