研究概要 |
水平におかれた矩形流路に吹き抜け流を流し,鉛直方向に温度勾配を課したときの流れについて解析した.熱伝導状態の線形安定性に関する既存の研究結果から,温度勾配の強さに比例するパラメタであるレイリー数が対流の発生する臨界値に近い場合,発生する対流としては,流路の縦横比に応じて(流路の中心に対して)対称な流れ,反対称な流れ,そして何の対称性も持たない流れの3種類があることが予想される.本年度は,対称あるいは反対称な流れについて解析した. まず,流路の縦横比が主に1または2の場合について,擾乱の非線形相互作用によって生成される2次元定常熱対流を数値的に求め,この対流による熱伝達率の変化を調べた.広い範囲のプラントル数(0.71から100)とレイリー数の値に対して,流路の上面と下面におけるヌッセルト数の分布とそれらの平均値を調べたところ,縦横比が2の流路の方が,1の場合よりもヌッセルト数が高くなることがわかった.また,側壁が完全断熱の場合の方が,完全伝導の場合よりもヌッセルト数が高くなることがわかった. 次に,縦横比が2の場合について,対流の非定常化条件を調べた.プラントル数を0.71(この値は空気に対応している)に固定して,2次元定常熱対流の3次元非定常擾乱に対する線形安定性を数値的に調べ,2次元定常熱対流が3次元非定常対流へ遷移する条件,すなわち,レイノルズ数ーレイリー数平面における2次元定常対流の安定境界を特定した.
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