研究概要 |
自由渦流入型の案内羽根旋回流発生装置により旋回流を形成する円管流において,これまでに界面活性剤を添加する濃度,流速および初期旋回強さを変えて界面活性剤による抵抗低減効果について調査を行なってきた.その結果,250ppm以上の濃度では旋回流場においても速度によっては60%程度の抵抗低減効果が得られた.また,ある程高い速度になると抵抗低減効果が減少し,溶媒(水)の流れ場と同等になり,濃度,初期旋回強さ等によって抵抗低減効果の得られる速度範囲が存在した.その速度範囲は,濃度が高くなるにつれて,また初期旋回強さが小さくなるにつれて,高速度域まで広がり,最大抵抗低減効果は増加した. 次に,抵抗低減効果のある旋回流において,渦タイプ,乱れ強さ,旋回強さの流れ方向への減衰特性,および渦心の振れ回り現象について,LDV計測により調査した.50%以上の抵抗低減効果を示す場合,円管入口の上流側から強制渦が観察され,溶媒(水)の場合に比べて高スワール数で強制渦を形成することが明らかになった.また,旋回強さ(スワール数)の減衰特性は,指数減衰則に従うが,渦タイプによって減衰勾配が異なり,同じ渦タイプ同士で比較すると,界面活性剤水溶液におけるスワール数の減衰勾配は溶媒の場合に比べて小さく,減衰しにくいことが分かった.さらに,界面活性剤水溶液の場合,強制渦の中でもその減衰特性は,軸方向速度分布のコア部が放物線状に尖っていく過程と平坦になっていく過程の二つに別けられることが分かり,その減衰勾配は前者の方が大きいことを示した. ベンド内流れにおける界面活性剤水溶液の流れ構造を明らかにするために,PIV (Particle Image Velocimetry)の技術を導入することとした.本年度はそのPIV技術習得のため遅い流れ場での流動解析を行なった.PIVによってもLDV結果と同程度の結果を得ることができた.
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