研究概要 |
ある種の色素から放射されるリン光の酸素消光現象を利用すると,物体表面上の空気の圧力変化を光学的に計測することができる.「感圧塗料」と呼ばれる塗料は,この原理を利用して空気中におかれた物体表面の圧力を非接触・非侵襲で計測するために開発された機能性塗料である.本研究では,この感圧塗料を用いた表面圧力計測法の小型回転機械上における圧力分布計測への適用を試み,その実用化に向けて克服すべき問題点を明らかにすることを目的としている.今年度得られた主な成果は以下の通りである. 1.物体の回転に同期した短パルス光を照射することが可能な励起光源システムを構築した.光源には高輝度青色発光ダイオードを1台当たり342個配したものを複数台用い,発光パルス幅を無段階に調整できる制御電源と組み合わせることで,使用目的にかなうシステムとした. 2.高速回転する物体の位置を高い精度で検知するためレーザダイオードと高速応答フォトダイオードを対向させた光センサーを作製し,その性能を確認した. 3.光計測を行う現有のデジタルCCDカメラの制御法を確立し,上記励起光源システムと同期した撮影を可能とした. 4.研究代表者らによって数キロヘルツの圧力変動に追従することが確認された多孔質感圧コーティングを用いて、上記励起光源およびCCDカメラから構成される計測システムの有効性を確認した.その結果,キロヘルツオーダの高速現象を捕らえることが可能であることを示すことはできたが、単一の画像からでは十分な信号対ノイズ比を得ることができず,両像データのノイズ除去処理が今後取り組むべき重要な課題であることが明らかになった.
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