核融合炉や加速器など大型装置の超伝導磁石を加圧超流動ヘリウムで冷却する場合を想定し、その際に問題となる狭い冷却流路内における超流動ヘリウムの熱輸送特性について研究を行った。以下に平成14年度の成果をまとめる。 数値解析:有限差分法による超流動ヘリウム二次元数値解析コードを、実験用流路モデル形状に適用し、λ転移温度以下での超流動ヘリウムの熱輸送特性を解析した。その結果、流路途中に存在する急激な絞り部分が熱輸送のメカニズムに与える影響を明らかにできた。特に絞り部分の下方においては、これまで静止しているとされていた超流動ヘリウムに、渦状の流れが形成されている可能性があることが示された。またλ転移および沸騰を考慮した数値解析への拡張のために、格子ボルツマン法の適用について調査・検討を行った。この流体数値計算手法は二相流の解析が可能であり、最近超流動ヘリウム特有の二流体方程式への適用の可能性も初めて示されたため、本研究への適用が可能であると判断した。 実験:加圧超流動ヘリウム実験用フランジの整備、実験用流路モデルの設計・製作を行った。設計においては、数値シミュレーション結果を考慮して、手直しを行っている。本実験は相転移を生じた後の三相共存状態での熱輸送特性を焦点としているが、研究の進展に伴いヘリウム槽温度を上げて過冷却状態での熱輸送特性についてもあわせて調べることについて検討中である。 本研究の成果は第19回国際低温工学国際会議(ICEC19)および2002年度秋季低温工学・超電導学会で以下の題目にて発表済みである。 ・Numerical analysis on He II heat transport in channel with abrupt change of cross-sectional are. ・加圧He II流路内熱輸送の急激な絞りの影響に関する数値解析
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