加圧超流動ヘリウムで超伝導磁石を冷却する場合に問題となる、狭い冷却流路内における超流動ヘリウムの熱輸送特性について研究を行った。以下に平成15年度の成果をまとめる。 実験:昨年度整備した装置を用いて超流動ヘリウム中の熱輸送実験を行った。使用した流路モデルは超伝導磁石の冷却流路を模擬し、スペーサによる冷却流路断面積の減少の影響を調べるため、流路途中に急激な絞りを持った形状とした。定常実験においては相転移が生じる熱流束を詳しく測定した。また非定常実験においては加熱開始から相転移が発生し、そして発展してゆく過程を調査した。これらから本流路における熱輸送は絞りの形状や位置の影響が大きいことが明らかとなった。 数値解析:実験用流路モデル(4種類)の有限差分法による超流動ヘリウム二次元数値解析を行った。それぞれの形状において温度を変えて相転移が生じる熱流束を計算し、相転移に至るまでの流路内の温度・流速を詳しく調べた。その結果、絞りの出入り口付近の流れや渦が熱輸送特性に大きく影響を与えていることがわかった。また混相状態の数値解析のために、有限要素法による二次元数値解析を行った。対象とした流路は直径約80cmの過冷却ヘリウム冷却のR&Dモデルコイルである。この結果、超流動ヘリウムと比較して過冷却ヘリウムは熱伝導率が小さいため、熱輸送特性は大変悪くなるが、強制的な流れにより改善されることがわかった。 本研究の成果の一部は第18回国際磁石技術会議(MT18)で以下の題目にて発表済みである。 ・"Thermal-hydraulic Characteristics of Superconducting Coil Cooled by Subcooled He I".
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