研究概要 |
宇宙空間あるいは建設現場などにおいて,人的あるいは機械的アプローチが非常に困難な空間的に距離のある位置に軽量物を正確に配置する場合,軽量物の重さを利用してキャストしても届かない場合が多い.この場合,ひも状構造物の重さを利用して投げれば遠距離でも軽量物を正確に配置できるのではないかと考え,キャスティングマニピュレーションシステムの着想に至った.本システムを構築する前段階として,キャスティング方法が類似しているフライフィッシングに注目し,現象の把握や数値解析を行うことを第一段階の目的としている.平成14年度はロッドやラインの運動の観測および挙動の解明までを行った.ライン形状を大別すると,ウエイトフォワード(WF),ダブルテパード(DT),シューティングヘッド(ST),レベルラインの4つのタイプに分類される.WFはライン重量を前方に配置したもので比較的遠投向きでラインに運動エネルギを与えやすいといわれている.DTはラインの両端にテーパがついており,WFに比べてソフトプレゼンテーション向きである.シューティングヘッドはテーパのついたヘッドの後方にレベルラインを設置したもので,遠投向きであるがキャスト後のラインコントロールが困難である.レベルラインはテーパが付いていないフラットなラインである.本研究では,WFラインとDTラインを用いた実験を行った.ロッドやラインなどは柔軟かつ大変形構造物であり複雑系とみなされる.このような構造物の動的挙動を把握するために,ビデオカメラを用いた撮影を行いロッド・腕の回転角を測定し,微分して角速度,角加速度を算出した.また,ラインの長さによるループ形状や飛行速度の違いを明らかにした.
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