研究概要 |
人間が行うような高度な把握・操りには,基本となる把握動作を抽出して数学モデルを構築し,その制御法を考えることは重要である.しかしながら,一方,人間が日常行っているような様々な作業を数学的にモデル化して,すべてを人間が指令するのには限界があり,学習などによる自律的な技能獲得の側面も不可欠であると考えられる.本研究ではこのような観点から,(A)基本となる把握・操り動作の数学的な解析に基づく制御法の開発と,(B)それらを利用したより複雑な動作の技能の学習方法の開発を目指して研究を行っている.これらに関して次の成果を得た. (A)基本把握・操り動作の数学的な解析と制御法の開発 (A-1)転がり接触のノンホロノミック性を利用した把持点位置の制御 6関節2本指ハンドによる転がり接触を用いた対象物の把握・操りを考え,対象物の位置・姿勢,内力の軌道追従と接触点位置のレギュレーションを同時に実現する制御法を開発した. (A-2)ソフトフィンガによる把握と操り 2関節2本指ハンドによる,2次元平面内の対象物の把握・操りにおいて,対象物の位置・姿勢・内力のレギュレーションを考え,指・対象物の慣性項,遠心・コリオリ力項を用いない簡便な制御法を開発した.また,対象物に対する汎用化を目指して,ハンド情報のみを用いた場合の安定性についても議論した. (B)学習による把握・操り系の技能獲得 3本の指先による平面内での把握・操りにおいて,強化学習を利用した対象物の目標位置への搬送を考えた.シングルエージェントの強化学習に比べ,マルチエージェントの強化学習には多くのメモリを必要とすることが多い.本研究では,それぞれの指が協調して同一の目的を達成することに着目し,シングルエージェントの強化学習のアルゴリズムを用いた学習法を考えた。
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