本年度は、以下の項目を実施した。 (1)既存技術(文献・特許・製品)の調査 文献調査、国際会議の参加などにより、既存の消音デバイスに関する研究動行を調査した。吸音型のマフラーとしては、依然としてグラスウールを用いる場合がほとんどであるが、その他に発泡金属などの多孔質素材を用いたものがある。MEMSデバイスを用いた消音デバイスはほとんど例がない。また、最近のマイクロ加工技術の動向を調査し、必要技術の洗い出しを行った。 (2)1次モデル(ラージサイズ・要素モデル)の設計検討 1次モデルとして、実験・解析の利便性を考慮して、最終製品の2〜5倍モデルを想定した。まずは、従来のリアクティプ型(細孔管型)マフラーおける、音波の共鳴・反射・干渉による消音原理を利用することを考え、従来の設計手法を検討した。 (3)性能試験・評価 1次モデルである小型細孔管型マフラー試験装置を製作し、寸法限界および設計パラメータが減音特性に与える影響を、静的音響(スピーカ)試験によって検証した。また、無音気流風洞を用いた試験装置を製作し、気流による圧力損失特性、気流音による減音効果の悪化などの影響を実験的に調べた。その結果、細孔管の挿入位置により、圧力損失およびマフフー内部の自己気流音が変化し、減音特性が変わることがわかった。 (4)高温・高速気流用試験装置の製作 本研究の適用分野として考えている、高温・高速の作動流体を用いたマフラー試験装置を製作する。空気源としては、模型用のガスタービンエンジンを利用することを考え、装置の購入、基本仕様の検討を行った。
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