本年度は、以下の項目を実施した。 1.マイクロマシニング技術の評価・検討 リアクティブ構造の超小型配列を実現するための製造技術として、各種の微細加工技術について検討を行った。具体的には、従来のCNC加工機(小径ポールエンドミル)での微細加工に加え、マイクロブラスト加工、マイクロ光造型、微細放電加工、微細レーザー加工などについて、加工精度、溝加工や輪郭加工のサイズ限界、曲線および曲面加工の可否、CADデータとのインタフェース、加工可能な材料などを評価した。いずれの加工法も数〜数10μmの溝加工が可能であるが、共鳴構造を実現するための深溝加工や、加工速度がキーポイントとなる。 2.1次モデル(ラージサイズ・要素モデル)の試作・音響試験 リアルサイズの2-5倍程度の大きさを持つ1次モデルとして、細孔管を有する共鳴型サイレンサの試験装置を製作し、その音響特性を調べた。細孔管の挿入位置や孔ピッチが減音特性に与える影響について調べた。 3.リアルサイズ要素モデルの設計 1次モデルの細孔管型サイレンサは、音波の反射・干渉・共鳴を利用したリアクティブ型のサイレンサであり、リアルサイズにおいてもその原理を踏襲する。しかし、超小型の微細構造となるために共鳴周波数は高周波数域に移行することから、低周波数域の消音原理を検討する必要がある。 4.市場・研究動向の調査 市場・研究動向の調査により、最近注目されている分散型モバイル電源用の超小型ガスタービンシステムに、本研究成果を適用できる可能性があることがわかった。当該システムはMEMS技術の集大成であり、本研究の概念との親和性が高く、熱交換器などのハイブリッドシステムにも応用できるものと考えられる。
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