研究概要 |
離島や山岳地等の給電困難な地域における自立電源用風力発電システムの適用技術として,2基のダリウス・サポニウスハイブリッド形タービン・発電機系から成る併結運転システムの,簡易な制御系を構築しながらかつ高い動力抽出性を有する運転方法を提案するとともに,それを自立電源にて実現しうる負荷制御・電力変換装置を開発することを目的とする.併結システムの負荷には誘導発電機を採用し,各発電機出力はインバータを介して連系される.それぞれのタービンに流入する風速が異なる場合でも,風力タービンの回転数はインバータ周波数に拘束されてほぼ等しくなることから,インバータ周波数を操作して複数台の風力タービンの変速制御運転が可能となり,より多くの動力抽出が期待できる.また,1台の負荷制御・電力変換装置により回転数制御を行えるため,システムを簡易にかつ安価に構築することができる.まず,併結した2基のタービンの定常出力特性を数値解析により明らかにし,変速制御運転を行う際の目標動作点(2基のタービンの最大出力動力点)を設定した.次に,変動風況下でこの目標動作点上での運転を行うための制御系を構築した.制御系では,併結した両タービンに対して機械的に確実に作用するものと見なしてシステム全体での負荷量を算出し,これよりいずれか一方のタービンが担うべき分担負荷量を算出する.その上で,分担負荷量に基づくすべり周波数制御を行い,他方のタービン負荷機をこの印加周波数で連系させることで,良好な負荷操作が可能となることを確認した.また,インバータでの印加電圧と印加周波数の比V/fの設定が発電機効率に大きな影響を及ぼすことから,2基の発電機を一つの動力変換要素と見たときの効率が常に最高値を保持するようにV/f可変制御を行うことが有効であることをシミュレーション実験により明らかにした.
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