研究概要 |
平成14年度交付申請書における本年度の研究実施計画においては,振動系の位置決め制御問題を例に,非定常最適レギュレータの計算によるオフライン目標軌道設計の効率化を達成することが目標とされた.そして,非定常最適レギュレータ設計のパラメータチューニングにGA(遺伝的アルゴリズム)を適用することを考えていた.しかし,十分な制振性能と同時に高精度な位置決めを実現するには,積分特性を持たない従来の非定常最適レギュレータのままで,その設計パラメータチューニングを行っても十分な位置決めを達成できないことが明らかとなった.そこで本年度は,非定常最適レギュレータの良好な制振性能を位置決めアクセス中に維持しつつ,位置決め整定時には従来のサーボ制御同様外乱抑圧性能に優れた積分特性を含めることのできる新たな非定常最適制御手法の提案を行った.具体的には,時間領域と周波数領域の双方で同時に重み付けが可能な周波数成形時変重みを含んだ一つの2次形式評価関数を導入し,それに基づく最適制御問題を解く手法である.本手法により,ただ一つの評価関数を最適化するように,時変ゲイン型アクセス制御と積分型サーボ制御の統一的設計と同時最適化,ならびに両制御モードのなめらかな切り換えが可能となった.従来手法との比較を含め,数値計算および実験により本手法の有用性を明らかにした.この内容は日本機械学会論文集C編に2003年度掲載が決定されている.このような新しい目標軌道設計法の提案も踏まえ,平成15年度では当初計画されていたGAなどを用いる目標軌道設計の効率化に関する検討に着手する.一方,振動系の位置決め制御問題に限らず,パワーアシスト制御問題など,他の運動制御問題への対応についても本年度準備を開始している.本年度の補助金の一部により新実験装置に設置するセンサ等を購入した.この内容の研究に関しても平成15年度に本格的に推進する.
|