研究概要 |
ヘッドの位置決めサーボにおいて,従来から行われているPID制御では、制御系設計の自由度や革新的な特性改善は望めず、現代制御理論の応用が必要となってきている.さらに,ヘッドサスペンションアームの最適化形状を見いだすことができれば,サーボ帯域との干渉緩和,軽量かつ高剛性を実現でき,機構構造系と制御系のトータル的な最適化設計により,従来の単独な制御系設計よりも,より高速・安定な位置決めが期待できる.そこで,今まで,理論的にほとんど検討されてこなかった機構構造系(例えばサスペンション形状,センサ,アクチュエータ配置)と強い関連性をもつ制御系の構造とその制御則についての最適解の存在条件と求解アルゴリズムについて明らかにし,同時最適化設計による磁気ディスク装置へのアプリケーションを検討した. 今年度は,実機のヘッドサスペンションアームの伝達特性を調べ,有限要素解析(FEM)を用いて2Dにモデル化しモデルの検証を行った.このデータをもとに有限要素解析により高い周波数に寄与する構造系の設計パラメータを割り出した結果,不確定な高次共振モードはアーム下端部のコイル固定部分の形状に依存していることが判明した.そのモード形状は有限要素解析から5000[Hz]付近にあることが分かった.そこで,制御帯域に干渉することを考慮して,高次共振ピークを5000[Hz]から7000[Hz]に移動できるような最適形状を構築することにした.結果,提案した手法により設定した望ましい帯域に合致する最適な形状が求めることができた.次のステップとして,トラック位置決め制御に関してはシークモードに限定し,目標トラックまでの参照軌道としての規範モデル(伝達関数)を与え,制御系はこの規範モデルに対するモデルマッチング問題を満たすようにコントローラを設計することが課題である.
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