研究概要 |
本年度の科学研究費助成により,2Wayホログラムの開発と偏光顕微システムの構築を行い,下記に挙げるいくつかの成果を得ることができた。 (1)アゾベンゼン誘導体を側鎖に含む共重合型の高分子薄膜を使って,ホログラムメモリ機能と実時間ホログラム機能を併せ持つ2Wayホログラムを開発した.このホログラムは高い光感度と比較的大きな非線形感受率χ1221を有し,空間的な強度分布に対してナノスケールの高空間分解能で凹凸形成が可能であることが確認された.分解能・記録エネルギーの点からも生体顕微計測用ホログラムメモリの応用に十分適するものであることが実証された。ただし,本メモリは経時変化・環境安定性に難があり,次年度の改善課題と考えられる. (2)本メモリの基礎光学特性を調べるために,実体4光波混合光学系に同ホログラムメモリを組み込んで,透過型物体の屈折率変位画像計測を行った.レンズシステム等の光学パラメータの設計が不十分であったため,メモリの高空間分解能性を生かした変位ベクトル計測は行うことはできなかったが,基本動作は十分確認することができた. (3)加えて,この媒体はホログラムメモリのみならず近接場光メモリやビット型光メモリ等への応用も期待でき,この附帯的な成果についても現在いくつかの論文誌へ投稿中である。 本年度得られた成果を元に次年度は上記2Wayホログラムを顕微光波混合系へ組み込んだ光システムを構築し,生体影像への応用を試みる.
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