研究概要 |
14年度はマイクロアクチュエータの元となる微小構造物の機械的特性と三次元微小構造物の作製手法に関する検討を行った。 まず微小構造物の機械的特性について実験的に検討した。新たに構成したたわみ測定装置を用いてレーザー顕微加工法で作製した微小梁の曲げ試験を行い、測定したたわみ量から微小梁のヤング率を算出した。レーザーパワー20μWと29μWで作製した微小梁のヤング率はそれぞれ平均で1.14×10^8N/m^2と1.79×10^8N/m^2であった。一方、紫外線照射により作製した同じ光硬化樹脂の微小梁のヤング率は1.79×10^8N/m^2であった。以上のことより、レーザ顕微加工法で作製した構造物のヤング率はバルクのものよりも小さい値となり、またその値はレーザーパワーに依存することが判明した。このことはレーザー光の走査方法やレーザーパワーによるヤング率の制御の可能性を示している。 次に三次元微小構造物の作製手法に関する検討を行った。外部から任意に出力を変化させられるレーザー装置をレーザー顕微加工法に導入し、造形過程中に滑らかにレーザー出力を変化させて造形物の形状に対する影響を検討した。その結果、垂直方向の加工分解能はレーザー出力の上昇に応じて低下することが判明した。垂直方向の加工分解能が低下する原因として対物レンズの収差や樹脂中でのレーザー光の散乱等が考えられる。 今年度の成果は以下の学会で発表した。また論文投稿中である。 1.太田有紀,川口博史,三輪昌史,土谷茂樹,金子礼三,"マイクロ光造形法を用いた三次元微小構造物の作製",日本実験力学会2002年度年次講演会講演論文集P.240-243(2002) 2.堂岡和親,川口博史,三輪昌史,土谷茂樹,金子礼三,"マイクロ光造形法で作製した3次元微小構造物のヤング率測定",日本実験力学会2002年度年次講演会講演論文集P.292-296(2002)
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