研究概要 |
昨年度は,従来のマイクロバルブとは抜本的に異なるロータリー機構を採用・実現することにより,省デッドボリュームでかつ10個の流出口の切換え可能なマイクロ多方向切換バルブチップを試作した.さらに,本バルブの構造は,従来のようにアクチュエータにより流路を塞ぐのではなくローターで機構的に流出口の閉鎖・開放を行うため,700kPa以上の高耐圧構造を実現し本バルブの有効性を示した.しかし,切換原理検証用バルブチップであったため,ダイヤル付ローターをチップ内にスライドインさせることで組立て,さらにローターを手動で回転させることで流路を切換える構造であった.そこで本年度は,次のステップとして,アクチュエータ駆動の流路切換えによる自動化と主要部品の一括製作の実現による薄型化の2点について研究を遂行した. まず,流踏切換えの自動化を行うためには,ローターをアクチュエータで回転させ,さらに切換えられた流出口の位置を検出する必要があった.そこで,流出口に対応したギアをローターに製作し,リニア駆動アクチュエータによりギアを押し込むことでローターを回転させた.これにより,本バルブにある自動位置決め機構を利用し,ギアを押し込んだ回数で現在の流出口の位置の判断も可能にした.さらに,アクチュエータでローターを回転させるため,ローター小径を大幅に小型化でき,ハイブリッド・マイクロ光造形法を利用することで,チップの造形途中にローターを組み込み一括製作が実現可能になった.これにより,バルブチップの薄型化やワンチップ内に複数のバルブを内蔵できる.以上の結果から,今年度はリニア駆動アクチュエータとしてソレノイドを採用し,プッシュロッドによりチップ外部から駆動したが,今後,アクチュエータを内蔵させたバルブチップを開発していく.
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