研究概要 |
本研究では,むだ時間系に対する制御理論を整え,検証実験を行い,テレオペレーションの実用性を確認することが目的である.成果の内容を以下に要約する. 1.むだ時間系に対するH_∞予測制御理諭の基礎的検討 テレオペレーションに『予測を用いるむだ時間系のH_∞制御理論』を適用するため,複数『入出力』むだ時間系を取り扱うH_∞予測制御理論の枠組みを整える検討を行った.複数『入力』むだ時間系の理論は既に提案し準備が整っていたが,複数『入出力』むだ時間系では,状態予測器の構成法に問題を残している.ただし,ネットワーク通信系を,複数『入力』むだ時間系とみなして,制御シミュレーションを行い,良好な制御結果を得ることができている. 2.複雑な予測制御系の簡略化構成の検討 これまでに申請者らが提案,特性解析してきた簡略化予測器は,不安定な制御対象に適用するのは困難である.スミス制御系なども同様の問題を抱えているが,対処策がいくつか検討されてきている.本研究でも,簡略化予測器を用いた簡略化状態予測制御系において不安定制御対象に対する対処策を検討した.制御系を解析した結果,対処策の具体案を見出すことができた.しかしながら,数値シミュレーションなどによる検証が必要であり,来年度以降継続研究する予定である. 3.テレオペレーション実験システムの構築 ロボットの運動制御に関するテレオペレーション実験を行うが,本年度は,実験システムの一部を構成し,必要な予備実験を行った.この実験システムでは,コンピュータ2台をLANを介して接続しており,一方のコンピュータに接続してあるセンサの情報をもう一方のコンピュータに送信する.この際,送信に必要な時間,すなわち,通信遅れ・ラウンドトリップディレイを計測した.今後は双方向に情報を通信できるよう実験システムの構築を続けて行く.通信稼動状態に起因する通信遅れの変動なども計測する予定である.
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