研究概要 |
本研究では,高速無線LAN装置が放射する電磁波の特徴を明らかにし,建材等が通信環境に与える影響や,同じ周波数帯を使用する気象レーダー等に無線LAN通信が与える影響,逆に,これらの機器から無線LAN通信が被る影響を把握することで,それらの問題に対する対策法を確立することを目的としている. 本年度は,高速無線LANで使用される周波数帯である5.15GHz〜5.25GHzにおける電磁場界を,高精度に計測する技術・手法の検討を行うこと,ならびに,高速無線LAN装置が使用する周波数帯の通信環境・電磁環境の現状調査をおこなうことを目的としていた. そこで,高速無線LAN装置が使用する周波数帯の通信環境・電磁環境を調査するにあたり,昨年に引き続き,測定に使用するアンテナの校正を行った.具体的には,ダブル・リッジド・ガイドアンテナ,対数周期ダイポールアレイアンテナ(LPDA),および,導波管プローブについでであり,いずれのアンテナについても精度良くアンテナ係数が得られることを明らかにした. また,基礎的検討として,従来からの無線LANで使用されている周波数である2.4GHz帯において,電子レンジから放射される妨害電磁波について検討を行い,屋内においては,壁面反射によるマルチパス伝搬により,妨害波の信号レベルが著しく変化することを明らかにした. さらに,近年,高速化が著しいコンピュータから放射される電磁界の計測をおこない,高速無線LANで使用する周波数帯に放射される電磁界の特徴について検討した. 今後は,建材等の誘電率の簡易測定法について検討する予定である.
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