研究概要 |
電力貯蔵用フライホイールシステムは,電力をフライホイールロータの回転エネルギーとして貯蔵するもので,発電電動機とコンバータを介して電力の貯蔵・放出ができる.本研究では,フライホイールシステムのロータの振動とロータを駆動するための電気系の振る舞いの相互影響に着目した解析を行った.得られた結果は以下の通りである. 1.電動機に与える電圧を増減し,ホイールロータを加速・減速させて電力を貯蔵・放出させた.このとき,ロータのふれまわりが周期倍分岐し,カオス的な振動状態におちいることを明らかにした.またロータの振動が発電電圧に影響を与えることを示した. 2.電気的な振動であるコンバータの高周波リプルが,ロータの挙動に与える影響を検討した.このリプルの周波数が軸ねじれの固有周波数と一致することにより,ねじれ振動が大きくなることを確認した. 3.電気系と軸ねじれ機械系の一巡伝達関数を求め,安定性について検討を行った.その結果,直流電動機で駆動した場合に連成振動は生じないが,誘導電動機で駆動した場合には,電気系と機械系で連成振動が生じることを明らかにした. 4.フライホイールを駆動するためには電源が必要であるが,上記に示したように,ホイールには振動が生じ電気系に影響を与える.これは,電源から見ると負荷が変動していると考えることができる.そこで,電源として直列共振DC-DCコンバータを用い,負荷が変動した場合の特性解析を行った結果,出力電圧の周期の倍加や不安定状態に陥ることを明らかにした. 5.上記で得られた現象を抑制するための制御方式を議論する上で基本となる安定条件について検討を行った.その結果,数学モデルの係数行列の性質を用いて安定性が判別できる新しい十分条件を導いた.
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