研究概要 |
送配電線を含むネットワークは、強風・雪などの天候、動物、あるいは経年経過による障害として断線、地絡、絶縁不良または多相接触などの障害が発生している。これらの障害箇所を特定する方法として、送電系統では観測点からの無効電力に着目した方法などがあるが、これらの方法では、故障箇所が観測地点からみて電源側か負荷側かを推定するもので目視や数回の通電が必要であった。そのためネットワークをもつ事業者は観測点の距離が数キロメートルにおよぶ場合もあり故障箇所推定のため時間と労力がかかっていた。 本研究では、観測したいネットワークの複数の地点に擬似不規則信号の一つである最大長系列(M系列)を入力また他の地点でその信号を受信し、入力したM系列との相互相関関数上に複数の入力点から受信点までの経路情報を伝達関数の形で推定することのできる手法を提案する。もし各々の入力点から受信点までの距離の差が小さい場合は、それぞれの伝達関数が重なり合うために必ずしも正確な伝達関数が求められない,本手法では、入力する各々のM系列の位相をずらして入力することにより相互相関関数上の伝達関数の重なりを防ぐという方法をとる。この手法をとることにより、ある入力から複数の経路を経て受信点に到着する入力が一意に定まり、経路に関する伝達関数を別々に同定できる。 本手法が伝送線路に対し適応できるかどうかを検証するため1)計算機上における伝送網作成、2)シールド線およびツイストペア線を用いて実際のケーブルによる伝送網作成をおこない故障が断線の場合の伝達関数を求めてみた。双方の場合とも故障点は入力点より正確にもとめることができ本手法の有用性が確認された。
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