ヘテロ半導体の微細化・集積化を推進する為には、ドライプロセスで発生する損傷を低温(600℃以下)で除去する事が不可欠である。この為には、照射イオン粒子が誘起する点欠陥(空孔、格子間原子)の挙動を解明し、この結果を基に点欠陥の複合化(損傷形成過程)を制御し、残留損傷を低減する事が重要である。 ヘテロ半導体では、損傷形成過程が、ドーピング不純物濃度、Ge組成、Si膜厚等で強く変調される。本年度は、損傷形成の特性量をドーピング不純物濃度の関数として解析し、損傷形成過程の解明を行った。 まず、イオン線照射による損傷形成過程を特徴付ける特性量を求める手法を開発し、それを用いてヘテロ半導体における損傷形成過程の解明を進めた。 (1)パルス化イオン線照射装置を用い、単結晶Siに広範囲の照射量(10^<11>〜10^<17>ions cm^<-2>)、ドーズレート(10^<10>〜10^<13>ions cm^<-2>s^<-1>)でイオン線を照射し、損傷形成量を定量的に評価した。これらの結果を用い、一定量の損傷を形成するのに要する照射量をドーズレートの関数として求めた。 (2)上記手法をドーピング不純物を超高濃度(〜10^<20>cm^<-3>)に含むSi薄膜等のヘテロ半導体に適用し、ドーピング不純物濃度をパラメータとして損傷形成過程を検討した。
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