研究概要 |
本研究では,干渉による光パターニングを利用したフォトニック結晶の作製のために,光アシスト法による酸化亜鉛薄膜の作製およびフォトニック結晶の作製を試みている.本年度は,干渉による光パターニングを行わない状態での膜作製について調査を行った.原材料である硝酸亜鉛の濃度を0.01mol/L〜0.5mol/L,ジメチルアミンボラン(DMAB)の濃度を0.02mol/L〜0.1mol/Lの範囲で変化させた水溶液を用いて光アシスト溶液プロセスにより成膜を行い,膜状態を評価した. 上記の条件にて成膜を行った結果,ガラス基板上には粒子状に酸化亜鉛が生成されることが分かった.この粒子の直径および単位面積あたりの粒子数は溶液組成および成膜温度によって変化した.硝酸亜鉛,DMABの濃度あるいは成膜温度を上昇させると,粒径は増大(〜200μm)し粒子数は減少する傾向がみられた.また,特定の溶液組成では基板上だけでなく水溶液中にも粒子が生成し,沈殿が生じるものもあった.これらのことから,光源として用いているXe-Clエキシマ光源の光強度が強すぎるために,基板表面だけでなく溶液内部においても反応が進行していると推察される. よって今後は照射光強度を最適化し緻密かつ平滑な薄膜が得られる条件を明らかにする.また干渉パターニングを行うと基板に照射される光強度が変化するので,照射光強度の膜状態に対する影響を定量的に調査する.さらに,実際に複スリット干渉光学系により基板上で干渉縞を発生させて成膜を行い,干渉パターニング成膜に適した膜作製条件を見出す.
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