研究概要 |
本年度は、均一な粒子径を持つ単分散Pb(Zr, Ti)O_3(以後、PZTと称する)ナノ粒子で構成した薄膜を作製しその電気特性と光学特性を調べた。まず、N : YAGレーザの3倍波(波長が355nm)を利用してPZTセラミックスターゲットを酸素雰囲気中でレーザアブレーションし、それにより発生したナノ粒子を気相中で分散したまま電気炉を通すことで単結晶のPZTナノ粒子を作製した。レーザアブレーションと熱処理により作製したPZTナノ粒子を、微分型電気移動度分級装置を利用して、その粒径別に分級した後、ナノ粒子を運搬するキャリアーガスと共にノズルを通し噴射することで、単分散PZTナノ粒子を種々の基板上に堆積した。まず、粒子径9nmの単分散PZTナノ粒子をシリコン基板上に堆積し、光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、その薄膜の形状を調べた。約3Torrの圧力下で、キャリアーガスを0.3slm(standar liter per minute)の流量とし、基板上に堆積することで、膜厚100nm以上の透明な薄膜が作製できた。SEMを利用した薄膜表面観察の結果から、薄膜を構成している単分散PZTナノ粒子は、基板上の粒子堆積後にも、その形状と粒径を維持していることがわかった。 単分散PZTナノ粒子を、可視・紫外光領域に透明であるCaF基板上に堆積し薄膜化し、その光吸収測定を行い、ペロブスカイト構造とパイロクロア構造を有するPZTナノ粒子(粒子径約9nm)の光吸収特性の違いを明らかにした。さらに、約9nmの粒子径をもつ単分散PZTナノ粒子薄膜を用いた金属-強誘電体-金属キャパシター構造も作製しており、そのキャパシターが持つ誘電特性や強誘電特性について調べた。
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