研究概要 |
これまで我々の研究グループは液晶ディスプレイや太陽電池等の製造に必要なアモルファスシリコン基板の大面積化を図るため,大面積の基板面において均一な電磁界分布により高周波放電プラズマを生成する装置の開発を行ってきた.平成14年度は,さらに大面積にわたってプラズマを生成・制御可能な線状アンテナ及び給電法を明らかにすることを目的とし,アンテナ素子の形状,及びアレーアンテナの給電位相,給電振幅を最適化して電界分布と成膜分布の均一化,大面積化を図った.以下に本年度において得た知見を列挙する. 1.FDTD法で求められたプラズマ中の電界分布に対し,電磁界の重畳の理を用いて,任意の給電振幅・位相に対する電磁界分布を求めるアルゴリズムを確立した.その結果,計算速度の大幅な向上が実現された. 2.アレーアンテナの給電位相を制御する方法を用いて大面積化を図る際,FDTD法に共役勾配法を適用し,基板全面における電界強度分布の偏差が最小となるような給電位相を高精度に求めた. 3.最適な周波数を明らかにするために,広帯域にわたる数値解析を行った.その結果,ガラス基板の影響を考慮すると,これまで用いた85MHzの周波数よりも低い,70MHz程度においてさらに均一となる結果が得られた. 4.最適化されたアンテナ形状,及び給電法を用いて成膜の実験を行い,膜厚分布と電磁界分布の比較により,本手法の妥当性が得られた.
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