本研究は、平面擬光学技術による安価で低損失なビームスイッチングアレイアンテナの実現を目的とするものである。本年度は、下記の研究成果を得ることができた。 1.平行平板線路の励振構造 誘電体スラブ二次元導波路よりも放射損失の少ない二次元導波路である平行平板二次元導波路への平面波の励振構造として、マイクロストリップクランクラインアンテナを用いた構造を提案し、10GHz帯で動作する試作品を三次元加工機を用いて製作した。これにより、平行平板線路による平面擬光学技術が実現可能であることを明らかにした。 2.電子制御マイクロ波遮蔽板の試作 誘電体基板の表面へ回折格子状に配置されたダイポールアンテナにPINダイオードを装荷することで、電子的に誘電体基板に垂直入射した平面波の透過/遮蔽を切り替える電子制御マイクロ波遮蔽板を試作し、10GHz帯での動作を確認した。 3.ビームスイッチングアンテナの試作 平行平板二次元導波路と電子制御マイクロ波遮蔽板を組み合わせて10GHz帯で動作するビームスイッチングアンテナを構成した。クランクラインアンテナにより二次元導波路に励振された平面波は電子制御マイクロ波遮蔽板で進行方向を変えられて空間に放射される。マイクロ波反射板と電子制御遮蔽板を組み合わせてあらかじめ設計した任意の2方向へのビーム切り替えが可能なことを確認した。
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