研究概要 |
チャネル長が7.4um〜0.7umの溝型ゲートMOSFETを作製しその特性の評価を行った.溝ゲートはKOHを用いた異方性ウエットエッチングにより形成した.KOHのエッチングマスクとなるSiO^2のパターンニングには,紫外線露光とふっ酸エッチング,及びFIBによるエッチングを用いた.チャネル長の決定はプロセス終了後に拡がり抵抗測定機で測定されたPN接合深さ(0.3um)とFIB-SEMによるチャネル部分の断面写真により決定した.作製されたトランジスタの性能は,チャネル長が7.4umのものは,S swingが1.3V/dec.,線形領域での最大トランスコンダクタンスが1.0μS/μm,移動度は44cm^2/Vsecであった.一方,チャネル長が0.7umのものは,S swingが1.1V/dec.,線形領域での最大トランスコンダクタンスが4.3μS/μm,電界効果移動度の最大値は51cm^2/Vsecであった.移動度の計算には仮に(100)面のフラットなSi表面での酸化膜厚をチャネル部分のゲート酸化膜厚と仮定した.チャネル長を小さくすることでトランスコンダクタンスは改善されている.しかし,どちらの特性も同程度の寸法の通常のMOSトランジスタと比較するとあまりよくない.この原因として、ゲート酸化膜中の固定電荷や界面準位が大きいことが考えられる.そこで,より薄い高品質のゲート酸化膜としてプラズマ窒化酸化膜の検討を行った.マイクロ波励起窒素プラズマで3.5nmの厚さのSiO^2を窒化することで,10MV/cmのゲート電界でリーク電流は窒化前の1mA/cm^2から0.2mA/cm2に低減された.このとき酸化膜容量は窒化後も増加は見られなかった.来年度にこのプラズマ酸窒化膜を溝型ゲートMOSFETに適用して特性の改善を図る予定である.
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